統合失調症
深夜二時頃の電話だった。嫁も息子も爆睡しているから、俺が出るしかない。しかしでると、すぐに切れる。または、なにもしゃべらない。
いたずら電話だ。俺に恨みをもつヤツの犯行だろうか。でも我が家の固定電話の番号を知っているヤツなんて、極めて限られている。いやな気持ちになる。
こんなことは、何年も前から度々あった。
先日、昼間うとうとしていると、突然家の電話の呼び出しベルが大きな音で鳴り響いた。昼間なのに、家族は誰も出ない。仕方なく俺が出るとまたすぐに切れる。俺ははたと、思いつき、階下にいた女房に「今、電話が鳴ったよね?」と聞くと、「いいや、ならなかったよ」という。
ここでこれまでの疑問が全て解けたのだ。
この電話の音は、俺にしか聞こえていなかったのだ。
つまり、電話は、鳴っていなかったのだ。
俺はこのことをすぐに主治医に話した。そして診断名が確定した。
「統合失調症です。」
昨日、捜し物が見つからなかったので、ゴミ箱の中を探ってみたら、上の画像の左側の薬袋が捨てられていた。握りつぶしてあった。まだ薬はたくさん入っているし、俺には捨てた記憶が全くなかった。
今日、熊本市内で夜用事を済ませて帰宅する途中、道に迷ってしまった。運転中、はたと今どこを走っているのかが分からなくなったのだ。ほぼ職場に近いところからの帰宅だ。迷う方がおかしい。
意識ははっきりある。それでも自分のことが分からない瞬間が、みとめたくはないが、たくさんある。
これが統合失調症なのだ。
出来ないことは出来ないと諦めよう。
しかし、出来ることは精一杯やろう。
すべてを諦めるのは、俺の生き方ではない。
がんばりすぎてこうなったことは、明らかだ。
しかしそれでも、がんばるのが、俺なのだ。
そう、あきらめて、頑張れることは頑張ろう。
こんな俺でも、誰かの役に立つことが出来るのかも知れない。
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