リウマチ確定「空手は口でやりなさい」
先週、しもむらクリニックで撮ったMRI画像をもとに、熊本リウマチ内科で診察を受けた。下村先生から関節リウマチを強く疑うと聞いていたので、覚悟はしていたが、坂田先生からも「骨まで食い込んでいる。これは痛風ではなく、リウマチだ。すぐに投薬治療を始めましょう」という診断を受けた。
1月半ばに通い始めた頃は、炎症反応が0.2しかなかった。基準値が0.4以下だから、「炎症反応はない」と言われたのだ。その夜から激痛が始まった。1週間後には0.4になり、今日は0.6であった。
坂田先生は当初、「手のこわばりは、空手のせい。足が痛いのは痛風。」と見立てられていたのだ。
リウマチの判断はとても難しいらしい。前回のエコーでも、関節リウマチが疑われるが、断定は出来ないという感じだった。それが今日、はっきりと関節リウマチだと、最終判断されたのだ。親指と人差し指に当たる骨、関節がひどい。
「骨に食い込んでいるとは、どういう状態でしょうか?骨がスカスカということですか?」
「いや、骨の中まで炎症があるということです。」
「前回、肉芽といわれていたものでしょうか。」
「そうです。」
真っ白の部分が骨の内部の炎症らしい。
ちょっとくらい、空手をしてもいいのじゃないかという気持ちがあり、聞いてみた
「投薬治療で炎症が治まってきても、運動してはいけないのでしょうか。リハビリのために、ある程度は運動した方が良いというイメージを持っているのですが。」
「足の関節は、動かすだけで悪くなっていきます。歩くとき親指の関節がどうしても動くから、そこがひどくなっているのです。運動は良くありません。」
結論を聞くのは怖かったが、はっきりと聞かねばならなかった。
「激しい空手をやりたいのですが、だめでしょうか。学校で指導したいのです。」
顔を激しく横に振って、はっきりと否定された。
「絶対にダメです。空手の指導は口でやってください。これが手のリウマチなら、止めません。足は踏ん張ってしまうし、激しく蹴ることになります。運動はだめです。空手は絶対にダメです。」
目の前が真っ暗になった。
いじめない子、いじめられない子を育てる。
いじめのない学校を、武道空手を通して実現するのだと、決意していたのだ。
企画書まで書いていた。
支援してくださる方もいる。
夢が音を立てて崩れていった。
「薬で浸食の進行が止まるかどうかは、わかりません。」
この二年間、空手をガンガンやることによって、うつ病を克服した。
しかし関節リウマチを悪化させていたらしい。
今は、ほとんんど立てないような状態だ。
痛さは、救急車を呼ぼうかと悩むくらいだ。
薬によって、痛みは緩和されるかも知れない。
立てるくらいにはなるだろう。
立てるのならば、闘えるのではないか。
俺はどうしても試合に出たい。
このような状況になったからこそ、子どもたちに、俺が命がけで闘う姿を見せたいのだ。
生きるとは命の燃焼であることを、見せたいのだ。
どんな状態でも闘わなければならないときは闘い、そして勝たなければいけないことを、証明しなければならないのだ。
本当に大事なことは、口で言ったって、何も伝わらないのだ。
伝えるとは、感じ取らせることだからだ。
大切な人を守らねばならないとき、本当の命のやりとりをしなければならない場面で、「足が痛いから闘えません」とは言えないのだ。
一年、いや半年でもいい。立てる間にやれるだけの稽古をして、試合に出る。
そして必ず優勝する。
試合までやれば、本当に一生、立てなくなるかも知れない。
この足は簡単に脱臼するらしい。
稽古するだけで、関節の炎症もガンガン進行するはずだ。
そこまでして、やるのか。
今は、やりたいと思っている。
この足が、砕け散っても、後悔はしないだろう。
きっとその後は、俺の意思を受け継いだ子どもたちが、世界に散らばって指導をしてくれるだろう。
坂田先生は言われた。
「できるだけ薬の副作用がでないように、もっていきます。大丈夫です。がんばりましょう。」
何が大丈夫なのか。とは、思わなかった。
出来ることは最大限やるから、任せてくださいという気持ちで言われたことが、痛い程伝わってきたからだ。心からありがたいと思った。俺はこの先生が好きだ。
最後にひとつ、良いことを言われた。
「喜んでください。リウマチは肺に来ることが多いのですが、あなたの肺は、とてもきれいです。こんなにキレイだ。生まれたときのまんまの美しさですよ。」
そう言えば、人間ドックで息を吐く検査の結果のグラフを見て、その時の先生が驚かれていた。「こんなにキレイなグラフ(何重もの円)になる人はいませんよ。」
きっと空手をして、呼吸法を身につけているので肺機能が発達したのだろう。
俺は、風邪さえ引かない身体になっている。
どう考えても、空手をやめることはできない。
できることをやるだけだ。
できないことは、できないのだから。
ただ、やってはいけないことを、やるかどうかだ。
きっと、やっちゃうんだよなあ。
坂田先生、ごめんなさい。
先生の言いつけは、守れそうにありません。
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